物流の壁を越えよう!関税と発送方法の違いを知る
越境ECで多くの方が気になっていることのひとつが、関税や商品の発送といった物流のことではないでしょうか。越境ECを始める際に、知っておきたい関税の話や、配送方法についてご紹介します。
関税は購入者にかかることを知っておく
関税とは、簡単にいえば、ほかの国から商品を輸入した際に、輸入する側の国が商品にかける、手数料のようなものです。関税の最も大きな目的は、安く輸入できる外国の商品から国内の商品や産業を守ることにあります。
越境ECで商品を販売する場合、海外の購入者は、商品ページに記載されている商品代金と、海外配送料の合計額で決済します。
ただし、海外から商品を輸入する場合、国によって関税、その他税金が徴収されます。一般的には、海外の購入者(輸入者)である消費者が、商品の受取時に関税等を支払うことになります。
※日本から配送して商品を販売する場合に適応されます。現地の倉庫から配送する場合はこの限りではありません。
海外からの商品購入に慣れている方は、関税等を支払うことを知っていますが、初めて海外から商品を購入した人は、海外から商品を輸入した際に関税等が発生することを知らないでしょう。
ですから、購入した商品の現地受取の際に関税等が発生した場合は、購入者の負担で支払わなければならないことをECサイトのページ内に明記する必要があります。
と同時に、あらかじめ各商品の関税見込み額を表示しておくことが、購入者にとって親切なバイヤーになれます。
関税額は輸入される商品や金額により変動します。多くの場合、一定金額までは免税となっています。
例えば、米国の場合は800ドル以下の購入金額であれば税金は発生しません。
※出典:日本関税協会 http://www.kanzei.or.jp/topic/international/2016/for20160401.htm
これを超えた場合は輸入税が課金されるのですが、その金額は購入した商品とボリュームにより異なります。
欧州ではVATも発生
また、関税とは別に、欧州市場で販売する場合、VATの問題は避けて通れません。VATとは日本の消費税のようなもので、物やサービスの購買時に課せられる間接税(付加価値税)です。このVATも国によって、その税率は異なります。
具体的な税率やVATに関しては、事前にJETROや在日大使館の商務部などに問い合わせて確認することをおすすめします。
日本郵便の国際郵便サービスは6種類 --豊富な配送方法が魅力--
海外発送に慣れるうえで便利な方法は、何といっても日本郵便のサービスです。
郵便局の窓口では、海外へ荷物を発送する際に必要な税関告知書の書き方を教えてくれるほか、発送する商品が輸出制限品目に該当しないかのチェックや、梱包が不十分でないかなどのアドバイスも提供してくれます。
日本郵便による国際郵便サービスには、EMS、航空便、国際eパケット、国際eバケットライト、UGX(ゆうグローバルエクスプレス)の5種類があります。
どれを選択すべきかは、以下の3点をポイントに選ぶと良いでしょう。
- デリバリーの速さ
- 安全性(追跡、届け方、補償額など)
- 重さ(大きさ)
それでは5種類のサービスの特長をざっとご紹介します。
■EMS(国際スピード郵便)
http://www.post.japanpost.jp/int/ems/index.html
国内の越境EC事業者に広く利用されています。同サービスでは配達状況の追跡や損害補償サービスも提供されています。
<デリバリーの速さ>
国際郵便の中では最優先で取り扱われます。世界120カ国以上に、海外EMS提供エリアに2~9日で届きます。ただし、国によって配送可能な商品や条件が異なるので確認しておく必要があります。
<安全性>
配達状況の追跡が可能です。損害賠償制度として、2万円までであれば無料で損害保険(商品が壊れた場合の補償)も付帯されます。別料金がかかりますが、最高200万円を限度とした実損額が賠償されます。
<重さ・大きさ>
最大30kgまでです。
■航空便
航空便は、一部の国で一定の重量を超えた場合にEMSより価格が高くなるものの、EMSよりも多くの国に対応しています。
<デリバリーの速さ>
配達の目安は3~6日で、料金の目安としては米国のニューヨークに2kgの荷物を送る場合で5,050円、配送日数は7日となっています。
■国際eパケット
http://www.post.japanpost.jp/int/service/epacket.html
「国際郵便マイページサービス」のオンラインシッピングツールで、専用の国際eパケットラベル一式を印刷することで利用できるサービスです。国際書留付き航空小型包装物の料金が割安となります。
<デリバリーの速さ>
配達目安は6~13日で、料金の目安は米国に2kgの荷物を送る場合で3,065円です。
<安全性>
2kgの荷物を米国へ送る場合で、EMSよりも割安ですが、補償金額が6,000円までのため、それ以上の高価なものを送る際には注意が必要です。一部の国には追跡サービスがあります。
<重さ・大きさ>
2kg以内で縦・横・高さ3辺合計が90cm以内の荷物発送の場合、EMSよりも安く、エコノミー航空便(SAL)よりも短時間に届きます。
■国際eパケットライト
http://www.post.japanpost.jp/int/service/epacketlight.html
国際eパケット同様、専用の発送ラベル一式を印刷することで利用できます。国際eパケットよりも、料金が安く、軽量で比較的低廉な荷物の発送に適しています。
<デリバリーの速さ>
米国のニューヨークに2kgの荷物を送る場合で、到着まで2週間程度かかります。最もリーズナブルな2,400円で配送可能です。
<安全性>
配送状況を追跡サービスにより確認できます。
<重さ・大きさ>
大きさや重さの規定は国際eパケットと同様です。
日本郵便のホームページを参考に、東京からニューヨークへ2kgの荷物を送った場合の料金比較を以下の表にまとめます。
料金 | お届け日数 | |
---|---|---|
EMS(国際スピード郵便) | 4,500円 | 3日 |
国際eパケット | 3,065円 | 7日 |
国際eパケットライト | 2,400円 | 2週間前後 |
航空便 |
小型包装物:2,760円 小型包装物:3,170円 ※国際書留付き 国際小包:5,050円 |
7日 |
船便 |
小型包装物:1,080円 国際小包:2,350円 |
本土2カ月前後 |
■UGX(ゆうグローバルエクスプレス)
http://www.post.japanpost.jp/int/UGX/
ゆうグローバルエクスプレス(UGX)は、海外の優れた物流事業者と提携し、商品を安定した品質で、簡単・確実に送れる海外向け小口荷物の宅配サービスです。
運賃は高めですが発送先へ確実に届ける「ドア・ツー・ドアの配送」を最大のメリットとして掲げています。
<安全性>
購入者ではなく、送り主が関税を払う関税元払いや、詳細な荷物追跡ができるなど、付加価値サービスが充実しています。
<重さ・大きさ>
長さは2.3m、横周3.8mまで、重さは実重量50kgまで対応し(オーバーサイズ運送の場合)、集荷も可能です。
通常の国際郵便や他社の配送サービスでは送ることのできなかった、釣り竿やバンパーなど大きいサイズの荷物が送れます。
※追加の集荷料がかかる場合があります。
海外の配送サービスも知っておこう
日本郵便以外の配送方法としては、DHLやFedExなどがあります。日本郵便を利用するよりもかなり割高となりますが、荷物の追跡はもちろん、緊急輸送や配達時間厳守などのサービスもあります。
緊急の場合や、安全・確実に荷物を配送したい場合には検討してみてください。
■FedEx
世界最大手の物流会社です。空路や地上で、重量貨物やドキュメントなど、さまざまな荷物の配送を請け負っています。取り扱い国も多く、220カ国に対応しています。迅速で時間厳守の輸送サービスや、1個あたり30kgから997kgまでの大きな貨物も、通常1~3営業日後に配達可能です。オンラインでの荷物追跡もできます。
いかがでしたでしょうか。たくさんあって迷ってしまうかもしれませんが、まずは「習うよりも慣れろ」の例えの通り、最初から大掛かりに取り組むのではなく、目的やポイントを踏まえて、ひとつずつ送ってみましょう。
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